2019.11.11
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「養生」とは、日々の生活に気を配って健康の保持・増進に努めること。
この考え方が、江戸時代においても健康で長生きするために大切なカギだった
ことが、当時ベストセラーだった『養生訓』に書き記されています。
『養生訓』とは、江戸時代を生きた儒学者である貝原益軒(かいばらえきけん)に
よって書かれた健康指南書で、健康で長生きするためのエッセンスが詰め込まれています。
江戸時代の平均寿命は40歳、そんな時代に貝原益軒は85歳まで長生きしました。
最期まで認知症や寝たきりになることなく生涯を全うした、まさに健康長寿を体現
した人物です。
『養生訓』の総論では、
「自分の身体は自分だけのものではなく、父母が授けてくれ、自分の子へと残すものであるため、
不摂生をして身体を傷めつけることはしてはいけない。養生を学び、健康を保つことが大切である。
欲のままに生活するのではなく、生まれてきたことに感謝をし、日々慎ましやかに楽しく生活する
ことが長生きにつながる」 とあります。
そんな、貝原益軒の教えをいくつか抜粋し、ご紹介いたします。
養生の道
●怒りや心配事を減らして、心を穏やかに保つ
●元気であることが生きる活力になるので、いつも元気でいる
●食事は食べ過ぎず、自分に合った適度な運動を毎日するのがよい
●生活の中で自分の決まり事をつくり、よくないことは避ける
●病気になってから治療するのではなく、病気にならない努力をする
●何事もほどほどにし、調和のとれた生活を送る
●お金がある・ないに関係なく、自分なりの楽しみを持って生活する
●養生のための生活を習慣化することが大切
●呼吸はゆっくり行い、たまに大きく息を吸い込む
●夜更かしはしない、だらだらと寝すぎない
●身のまわりを清潔に保つ
食生活
●食事は温かいうちに食べる
●胃腸が悪い時は水を多めにして炊くなど、体調に合わせてご飯を炊く
●食事は薄味にし、濃い味のものや脂っこいものは食べ過ぎない
●冷たいもの・生もの・堅いものを食べ過ぎない
●いろいろな味のものをバランスよく食べる
●食べ物への感謝の気持ちを忘れずに食事する
●夕食は朝食よりも少なめにする
●食欲を抑える、食欲に勝てる精神力を持つことが大切
●前にとった食事が消化してから次の食事をとる
●酒は少しにして呑みすぎない
●塩分の少ない食事をとる
●煙草は毒であり、習慣化すればやめにくくなる
住まい
●適度な明るさの部屋で過ごし、薄暗い陰気な部屋に長時間いないようにする
睡眠
●夜寝るときは横向きで寝るのがよい
仰向けになると気分が悪くなってうなされる、胸の上に手を置くと悪夢をみる
排泄
●大便・小便は我慢せずに早く済ませる
薬の服用
●長生きの薬はない。生まれ持った寿命を全うする
●毒にあたって薬を飲むときは冷水がよい。熱湯は毒の力を活発にする
高齢者の過ごし方
●心を鎮めて日々を楽しみ、怒ることと欲を制する
●無理をしないようにする
まとめ
養生訓に書かれていることをまとめると…
「バランスのとれた食事」・「適度な運動」・「良質な睡眠」・「ストレスを避けて心を穏やかに保つ」・
「楽しみを持って元気に過ごす」という、現代の生活習慣病予防で大切とされることが全て網羅されていると
思いませんか?
時代を超え、なお『養生訓』が読まれているのは、心穏やかに日々を過ごし、命に感謝して生きていく貝原益軒の姿勢や気持ちを感じることができるからだと思います。
※引用・参考:健康長寿ネット(https://www.tyojyu.or.jp/net/index.html)