2016.07.27
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高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称で、様々な症状が現れます。読んで字の如く『熱に中って(あたって)起こる症状』ということです。
体の中と外からの熱で体温が以上に上昇すると、調節機能が働かなくなってしまいます。重症になると多臓器不全の状態になり、死に至るケースもあるため、熱中症を甘く見てはいけません…。
これらの症状が現れた場合には、熱中症を発症した可能性があります | |
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Ⅰ度 | ・めまい、失神:「立ちくらみ」のこと。「熱失神」と呼ぶこともあります。 ・筋肉痛、筋肉の硬直:筋肉の「こむら返り」のこと。「熱痙攣」と呼ぶこともあります。 ・大量の発汗 *自力で水分摂取ができる |
Ⅱ度 | ・頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感 体がぐったりする、力が入らない、など。従来「熱疲労」と言われていた状態です。 *自力で水分摂取ができない |
Ⅲ度 | ・意識障害、痙攣、手足の運動障害 呼びかけや刺激への反応がおかしい、ガクガクと引きつけがある、真直ぐに歩けない、等。 ・高体温 体に触ると熱い感触があります。従来「熱射病」などと言われていたものが相当します。 |
このように熱中症はⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分類されますが、実際には明確に区分できないことが多いようです。
なぜなら、軽症だと思っていた症状が、あっという間に重症化してしまうことがある
からです。ちょっと気持ちが悪いからと休んでいる間に、いつの間にか意識を失っている、なんてことも…。
職場での熱中症による死亡者数は、H10年以降では平成22年の47人が最高となっています。この年は、記録的猛暑となった年でした。それ以外は、概ね20人前後の年が多く、ほぼ横ばい状態です。
労働中に起こる熱中症は一昔前に比べれば、労働環境などが格段に改善されていますので、減少してきているとされていますが、近年の地球環境(温暖化など)の影響により、ただでさえ暑い夏がより暑くなっているために、労働中の熱中症発生は下げ止まり状況のようです。
平成22年~24年の3年間のデータです。ご覧の通り、建設業が圧倒的に多く、全体の約4割を占めています。
これは、屋外における作業のため、気温・湿度の高さや、直射日光による影響が大きく関係していると思われます。
次いで、製造業の13件で、これは全体の約2割を占めています。
平成22年~24年の3年間のデータです。夏真っ盛りの7月・8月に熱中症の被災が集中しています。
7月と8月だけで、全体の約9割を占めている状態です。
平成22年~24年の3年間のデータです。熱中症の発生する時間帯として、日中ほぼ平均的に発生していますが、15時台~16時台がピークタイムです。
15時以降は、作業による疲労が蓄積する時間帯ですね。
・前日に比べ、急に気温が上がった場合
・梅雨明けをしたばかりの時
・気温はそれほどでなくとも、湿度が高い場合
・活動場所が、アスファルトなどの人口面で覆われている所や、草が生えていない裸地、
砂の上などの場合
・普段の活動場所とは異なった場所での場合
・休み明けや作業の初日
・作業が連日続いた時の最終日前後
1.暑熱環境 2.作業環境 3.作業時間 4.服装
※高温多湿な環境で、透湿性・通気性の悪い服装や保護具を身につけて、休憩をあまり取らず、
肉体労働に従事していたら、ほぼ100%熱中症になるでしょうね…。
・新入生や新人(体力の弱い者)
・肥満の人
・体調不良(発熱、疲労、二日酔い、下痢、睡眠不足、ケガ など)
・暑さや屋外環境に慣れていない人
・熱中症になったことがある人
・性格的に、我慢強い、まじめ、引っ込み思案
熱中症の手当の基本は、休息・冷却・水分補給の3つです。
休 息 | ・まずは安静にさせる。 ・次に、安静を保てる環境へ運び寝かせる。 ・意識がない場合や顔色が蒼白の場合は足を高くし、顔色が赤い場合は上半身を やや高くして寝かせる。 ・衣服を緩めるか、必要に応じて脱がせて、体を冷却しやすい状態にする。 |
冷 却 | ・症状に応じて冷却を行う。 ・震えを起こさせないよう、マッサージと併用する。 ・寒いと訴えるまで冷却する。 |
水分補給 | ・意識がはっきりしている場合に限り行う。 ・意識障害や吐き気がある場合は、医療機関での点滴治療が必要になる。 |
< 現場での応急処置 >
< 緊急連絡網の作成、周知 >
⇒ あらかじめ、病院や診療所などの所在地や連絡先を把握するとともに、
緊急連絡網を作成し、周知する。
いかがでしたでしょうか?
さらに具体的な熱中症予防・対策の内容を知りたい場合は、厚生労働省から発表されている『職場での熱中症予防対策の重点的な実施について』という通達をご確認ください。
※インターネット検索で『職場での熱中症予防対策の重点的な実施について』と入力。
最後にまとめとして…
・熱中症は予防できる病気です
・軽い症状も甘く見ないこと
・こまめに水分補給をすること
・「オカシイな」と思ったら、必ず周りに声をかけて、1人にならない&させない
熱中症に対する知識を身につけ、熱中症に負けない、元気な職場を目指しましょう!